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水道法改正に伴う水道民営化に対する意見とウォーターバロンについて

今国会では水道法改正が審議されます。

2013年に麻生副総理がワシントン日本の水道を全部民営化するとスピーチしました。それから約5年。水道民営化に向け、水道法を改正しようという法案が審議されることになりました。

いろいろ見ていると、民営化に賛成する人も反対する人もたくさん。

無駄な税金を節約することができるから賛成という人もいれば、外資が参入してきて、水道代が上がってコチャバンバ水紛争のようなことが起こるから反対だという人もいます。

色々な意見を分析した上で、個人的な意見を述べたいと思います。

※専門家ではない、個人の一意見です。予めご了承ください。

水道を民営化する理由

そもそも、なぜ水道を民営化するのかしないのかというところから簡単に説明します。

現在公営(地方自治体)が水道の管理を行っています。その運営・管理費は税金から賄われています。

それを民間に外注することで、税金の出費を下げようという考えのもと民営化の話は始まっています。

またお役人が苦手とする企業努力を期待することができます。

受注した金額と実際の運営コストの差が受注する企業の利益になります。

それを見越して、発注側は今現在の運営コストより安くなるという見込みのもと、入札をかけて民間企業を選ぶわけですね。

地方自治体としては水道の運営コストと今現在かかっている人的コストを節約することができます。

民間企業としては新たな事業が生まれ、運営コストを削減することで企業としての利益を得ることができます。

ぱっと見、みんなウィンウィンでいいようにも思えますが、水道の民営化に反対する人も多くいます。それはここにサービスを受ける側の人間(一般市民)の視点が欠けているという意見です。

コチャバンバ水紛争

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よく水道民営化の失敗例としてよく挙げられるのがボリビアで起こったコチャバンバ水紛争です。

南米ボリビアの第三の都市、コチャバンバという街で水道が民営化したときに水道代が大幅に値上がり。それに怒った市民たちが民営化を行なった政府に反対運動を行い、死者を生むほどの紛争が行われました。

これを見て、水道民営化が悪だというには気が早いです。

この紛争をよくみてみましょう。

当時、コチャバンバはどうして民営化しようと思ったのか。

民営化する前(1999年)は、政府が水道事業を行なっていましたが、人口の57%しか水が届いておらず、そのうち5%〜10%の人は未払いでした。

すでに3000万ドルの負債があったのに、残りの43%の人に水を届けなくてはいけないし、既存の水道管の更新などの必要に迫られていました。

さらにコチャバンバだけではなく、ボリビア全体としても財政が破綻、IMFや世界銀行の介入が望まれていました。

IMFや世界銀行としては介入するのであれば、お金は正しく使ってほしいものです。そのために透明性の高い民間が水を含めた各業界に参入して欲しいと要望を出したため、これまでコチャバンバの水道事業を請け負っていた政府から民間へと移行しました。

民間企業は利益を上げなくてはその存在価値はありません。

これまでグダグダだった水事業を改善してより多くの人に、質の高い衛生的な水を届けるためには投資しなくてはいけません。

お金がなければ、新たな配管はできません。お金がなければ水道料金の徴収に行く人を雇うこともできません。

ということで、水道料金の値上げをしたところ、払えない市民が多数発生。紛争へと発展して行きました。

またこのコチャバンバ水紛争で注目されるのが、この水道民営化の裏にアメリカの建設会社ベクテルとイギリスのユナイテッド・ユーティリティーズという外資企業が関わっていたことです。

民営化する時に競争入札を行なったところ、トゥナリという会社のみが参加しました。入札が成り立たなかったので政府はトゥナリと交渉のもとトゥナリを指定企業として認めました。

このトゥナリの株式のうち55%がインターナショナル・ウォーターという会社が保有。そのインターナショナル・ウォーターの株主はベクテルとユナイテッド・ユーティリティーズでした。

この構図を見ると、外資企業がコチャバンバ市民からお金を搾り取るために色々暗躍しているように見えます。

そのため、抗議運動はボリビア政府だけでなく、これらの企業、そしてそれを応援しているであろうIMFや世界銀行まで広がって行きます。

最終的にはコチャバンバ市の元に戻され、監視役の市民代表を理事に入れることで半官半民のような形態に戻し、トゥナリの損失の2500万ドルの請求を放棄。米州開発銀行が融資することで水道事業は存続していくことに決まりました。

この外資の暗躍が今日本でも危険視されています。

水事業の巨人たち:水メジャーのウォーターバロン

世界中で水道事業を展開している大きな会社を水メジャーやウォーターバロン(水男爵)と呼ばれています。

どう呼ぶかで、対象となる企業は違うのですが、ヴェオリア(フランス)、スエズ(フランス)、テムズウォーター(イギリス)の3社が主にあげられます。他にもGE(アメリカ)、Siemens(ドイツ)などの有名企業や新興のHyflux(シンガポール)なども水メジャーと呼ばれています。

ところでなんで欧米人ってこういう言い回しが好きなんでしょう。石油関係だと昔大きな7社をセブンシスターズって呼んでいました。格好いいですよね。

さらに補足すると、かつてテムズウォーターは海外展開をしていましたが、ほとんど撤退。現在はロンドンの水事業に集中しています。その代わりプレゼンスを上げているのが、シンガポールや香港、インドなどの企業です。

そこに今、日本企業が食い込んで行こうと方法を模索しています。

日本企業には素晴らしい技術力があります。しかし、水メジャーには一社もいません。それはなぜでしょうか。

日本の水事業の展望

日本の企業は水に弱い?そんなことはありません。

工業用の超純水(純度100%に近い水)は栗田工業とオルガノが圧倒的シェアを持っています。

また海水の淡水化技術で重要になる水処理膜市場に関しては日東電工、東レ、東洋紡が世界シェアの約5割を握っています。

じゃあ、なぜ水メジャーにいないのか。それは総合的な取りまとめ役がいないということが挙げられます。

ある自治体が水道事業を民間に移行させようとしているという情報を得るとします。じゃあ、それに手をあげて、水道事業を受ける役割はどの企業が担うのでしょうか。

上にあげたような企業はこれまで技術を使って、素晴らしい商品を開発してきました。その商品を必要としている企業にその商品を届けるというのがお仕事です。今の所、水道事業を手がけたことがある会社はほとんどないのです。

役割的には商社は海外のインフラなどに強いので、商社が最も水メジャーに近いような気がします。他にJFEエンジニアリングや日揮などといったプラント系の企業も参入してきています。

ウォーターバロンたちは巨大です。

例えばウォーターバロンの一つであるヴェオリアは1853年からフランスで水道事業を手がけているため、ノウハウの蓄積は膨大です。日本にも早くから進出しているため、日本初となるコンセッション方式による上下水道の運営事業はヴェオリアが中心となった企業体(ヴェオリア、JFEエンジニアリング、オリックス、須山建設、東急建設)が取得しました。

しかし、これで日本の水道事業は外資に乗っ取られるというのはどうなんでしょうか。

先日『海賊と呼ばれた男』を読んだばかりなので、外資が参入してきても日系企業が奮闘し、日本だけでなく、世界中で水道事業を取得していくように発展していってほしい。そして、それは技術力で実現できる。そう思います。

事実、日系企業は海外での水道事業を展開するために『和製水メジャーを目指せ』を標語に事業を展開させて行こうとしています。

ところで外資脅威論を述べ、外資は日本に入ってくるなと言う人は日系企業の海外進出をどう見ているのでしょうか。日本人が海外へ行くのは良くて、外国人が日本に来るのはダメなんでしょうか。

さいごに

これまで民営化された事業は本当に多いです。

製鉄、炭鉱、セメント、製糸、製薬、石油、電力、交通、ゴム、電話、鉄道、航空、空港、郵政、地下鉄、JRなど。

生活インフラの多くは民営化されています。

だからと言って、水も民営化して大丈夫とは言いません。しかし、水も民営化して大丈夫な可能性はあるとは言えるのではないでしょうか。

私としては基本的な理念である税金の節約は大賛成です。個人的にお役所、お役人も素晴らしい人はいるものの予算をどう増やすか、予算をどう消化するかと考える人たちに事業を任せるのはあまりいいとは思いません。

そして事業家の一人として、民間企業が新たな仕事を得て、経営努力して、コストカットをして、利益をあげるのも大賛成です。

しかし、その結果、生活インフラである水道の料金が上がるのは困ります。それは日系企業であろうが外資企業であろうが、どっちでも関係ありません。

いいサービスを頑張って安価に提供してほしいですね。

※専門家ではない、個人の一意見です。ご了承ください。

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